よし、退職代行を使って顔を合わせにくい上司・同僚を避けて辞めてしまおう。こんな決心のもとに、これから退職代行会社に連絡しようとしていませんか?
一度入社したら定年まで全ての会社員が居残るべきとは思いません。
しかし、途中で辞める時に、自分が直接退職の意思を示さず、代行会社を使うことのデメリットを本当にしっかり理解していますか?
私が以前在籍していた会社で人事担当責任者をしていた当時、現場スタッフの中途退職及び中途採用に数多く携わりました。
その時の経験・見聞を踏まえて、代行会社を使うときの注意点を列記します。
1 デメリット(その1):次に入社する会社に悪い情報が流れる恐れあり
退職代行会社を使って辞めてしまえば、その時は上司・同僚に顔を合わせずに済みますが、残された側にしてみると唐突に何の挨拶・調整もなしに逃げられたという無念と裏切られたという悪い感情が残ってしまいます。
勿論、それ以上にひどい目に合わされたのはこっちの方だという言い分もあるかもしれません。
ポイントは、貴方が次の会社、またはさらにその次の会社に就職しようとするときに、元職場の人は恐らく貴方について罵詈雑言を並べ立てるはずです。
・あいつは引継ぎもしないで、代行会社を使って逃げた。
・デスクの中に私物がそのまま残っていて、処分するにも法的に勝手に処分できないと顧問弁護士に言われた。いつまで尻拭いをさせるのか。
・急に退職されて現場のシフトに穴が開いた。結局、お世話になった人に大変な迷惑をかけても平気な奴。
・会社の金を使い込んで懲戒解雇になるところを、温情で自己退職扱いにしてやった。
・お世話になったはずの社長のクレジットカードを使い込んで、逃げた。今、どこにいるのか知っているなら教えてください。
等々の、本当は前の会社でリセットしてしまい、次の会社に持ち越したくない話題がここまでではなくとも、ある人もいるはずです。
上記のような個人情報の流出は、昔ならともかく今のご時世ではありえないと転職エージェントに言われていませんか?
甘いです。
たしかに、上場していたり媒体にCMを流したりするような社会的責任をすぐ追及されそうな会社は、中途採用にあたって候補者の履歴調査を行ったりはいたしません。
しかし、逆に言うと、そうではない会社のすべてではないですが、中途採用候補者に対し未だに履歴調査を行っている可能性はあります。
それがコンプライアンスに反するかどうかよりも、問題社員の排除に力点を置く会社はあるのです。
採用する側の立場に立って考えてみれば容易にわかります。
・一度、正社員で採用してしまったら、余程のことが無い限り解雇はできない。
・そもそも、目の前にいる候補者が本当に前職場の退職理由を全て本音で語っているだろうか?
・本人には伝えずに、そっと履歴調査をかけてみよう。
このときに真っ先にヒアリングをされるのは、元職場の同僚・上司であることは覚悟しておいてください。
代行会社の弁護士が、どんなに口止めをしても無駄だと思ったほうがいいです。
なぜなら、採用NGの理由としてあなたが前職場でのどういうことをしたのか内々に調査をかけたなんて言うわけはないですから。
メールかなんかで、「今後の貴殿の就職活動の成功をお祈りします。」と連絡されてNG理由は闇の中でしょう。
でも、ここまでの手間とコストをかける採用プロセスはたしかに少なくなって来ているような気はします。
あくまで「リスク」としてとらえる程度かもしれません。しかし、「リスク」は「リスク」として存在はします。
2 デメリット(その2):当然、費用がかかる
当然、費用はかかります。
数万円は覚悟せねばならないでしょう。
どうしても弁護士などの法律専門家の時間単価は高くなってしまいますが、その分、手際よくきれいにしてくれます。
昔と違って弁護士も敷居は低くなっており、フレンドリーに対応をしてくれるところも増えてきています。
転職にあたってお世話になる転職エージェントなら新たな就職先となる会社が費用負担してくれますが、退職代行会社の費用を元職場は負担してはくれません。
自分で職場の上司に相談、報告すればかからずとも済む費用です。
しかし、その費用でどうしてもクリアしたいから、この話題を調べているはずなので、この論点はそもそも論点にはならないはずです。
3 まとめ
実際に退職代行会社を使う上では、メリットも勿論大きいと思います。
とにかく今の環境から脱出したいという切実な気持ちのとおりに行動すべき時もあるものと思います。
一方で上記のように、元職場の人々も人間ですので発つ鳥後を濁さずの真逆な辞め方をされた時の悪感情は残るのは覚悟しておきましょう。
上記でくどくど記載したことがあてはまってしまったら、運が悪かったと思ってください。
また、費用面と代行サービス面とのバランスは慎重に考えて相談しましょう。